芦塚葉子先生インタビュー

 動物と話せたらどんなに面白いだろうか…と大人になった今でも思う事がしばしばあります。アニマルドール造形教室の主宰・芦塚葉子先生はもしかしたら動物と会話ができる憧れのスキルを持った方なのでは?と思う位に、制作されたアニマルドール作品やお教室で生徒さんが制作される作品は表情豊か。おとぎの国や夢の中に出て来そうな親しみやすさがあり、でもきちんと「そこに存在している」存在感もあるのは、ドールづくりのベースに動物の骨格や肉付き、習性や性格…動物そのものを追求する「動物が好き」という原動力があってこそのものです。芦塚先生がつくるアニマルドールの世界、伺ってまいりました!

芦塚葉子先生画像

―芦塚先生はこれまでに共存をテーマに、体表で種を育て周囲に植えてゆく変わった習性をもつ動物たちや、独自の想像や考察をもって資料が残っていない絶滅種のアニマルドール制作をされていらっしゃいますが、その延長に、まったく架空の生物を創ってしまおうというお考えはありますか?

あえて架空の生物を作ろうとは思っていませんが、自分の頭の中に浮かぶ動物のイメージを形にすると、仕草や表情、また色彩も実際にはいない生物に結果的になっています。

 

―しかも1体1体全く同じ子がいないので、それぞれが自分の魂を込めた自分の分身のようですよね。動物と触れ合う仕事の方々が、動物との別れ(巣立ってしまったり、野生に帰っていったり…)に抱くような感情を、ご自身の作品が手元を離れてゆく時に感じますか?やはり親のような気持ちになるのでしょうか…

作品が手元を離れる時に、「別れ」という感覚はあまりないです。作品を制作している時が自分と作品との対話の時間であり、作品の完成をもって作り手との関係は完結すると感じています。そこから先は作品を見てくださった方と作品との対話が始まるのだと思うのです。

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―「区切り」があるのですね。お人形の場合、制作者の顔に作品がよく似ていることがありますが、先生のアニマルドールを間近で見た時に動物達の話し方や声色が先生のそれでイメージするとしっくり来るような感覚がありました。動物達それぞれ、どんな声が先生からは聞こえているのでしょうか。

制作する時は、ただリアルな形を目指すのではなく、わりと具体的にキャラクターを設定しています。それが表情などに反映するといいなぁ…と思いながら作っています。過去に演劇やシナリオを学んだ経験が少しは役に立っているのかもしれませんね。言いそうなセリフとか自分でつぶやきながら作っています。

芦塚先生は現在の仕事をされる前にとても多彩な経歴をお持ちでいらっしゃいます。劇団、劇場のマネジメントのお仕事、上野動物園、などなど…シナリオ書きの勉強もされていました。それぞれの場所での経験が今の活動に役立っているそうです。今度はお教室についてお話を伺いました。

―特にぬいぐるみタイプのアニマルドール教室は始められて時間が経っていますが、その中で生徒さんやお教室の変化などはありますか?

スタートした頃は、初心者の方でもいずれは自分で型紙をとってオリジナルの作品を作れるようになる事を目指して教えていましたが、教室での生徒さん達との会話の中で、人によってはオリジナルより課題を制作する方が良いという方もいることを知り、柔軟に考えるように変わりました。

―通常のレッスン以外にも、動物園見学など動物がさらに好きになりそうな仕掛けがあってとても魅力的でした。例えばカリキュラムの動物をすべて制作した後に作りたい動物を自由にセレクトすることはできるのでしょうか?

生徒さんの中には2タイプあって、オリジナルを作りたいという方と、キットを使用して課題作品を作りたいという方がいらっしゃいます。どちらの生徒さんにも楽しんで制作を続けて頂けるように今後のカリキュラムを考えています。

芦塚先生主催の動物園見学だけでなく、お教室の生徒さんたちの作品展もとってもユニーク。作品とキャプションと淡々と展示するのではなく、毎回コンセプトを設けてウィンドウディスプレイや小さな舞台を見ているような展示形式で行っているため毎回非常に見応えがあるものを開いていらっしゃいます。というのも、ディスプレイデザインを、お教室開催場所となっているお店を運営・デザインされている芦塚先生のお姉様が手がけていらっしゃるのです。道理で空間の要素ひとつひとつに心が込もっている訳でした。

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―そのお店兼お教室の内装や家具などなど、ご家族の方々と力を合わせてたいていのものは制作してしまう訳ですが、気がつくとついつい集めてしまっているようなものなどはございますか?

私個人では、アニマルドールを制作するずっと前から、不細工な動物のオブジェを見ると、つい買ってしまい、知らず知らずのうちに集まっています。

教室にディスプレイされている動物達も含め集合したら圧巻の光景でしょうね。
芦塚先生のお教室は生徒さん達も多彩で、他ジャンルの作家さんから動物愛護活動をする方、美大生、などなど動物好きの方々が集まっているのでそういった方々との制作を通した交流も刺激的。今後の皆さんのクリエーションをとっても楽しみにしております。どうもありがとうございました。

芦塚葉子先生のお教室、「アニマルドール造形教室」の情報はこちら
http://www.geijutsumura.net/learn_detail_l0000434.html

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